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イラン国 チャハールマハール・バフティヤーリ州参加型森林草地管理プロジェクト

事業期間

2010年6月~2016年12月(6.5年間)
(2015年8月~2017年1月は延長フェーズ)

事業形態

JICA技術協力プロジェクト

目標

 イランの南西、ザグロス山系に位置するチャハールマハール・バフティヤーリ州の自然資源流域管理局(自然資源局と略記)の参加型森林・草地管理能力を強化する。

活動内容

 本プロジェクトは、1)自然資源局のキャパシティ・ディベロップメント戦略に基づき、自然資源局の参加型森林草地管理に関する組織体制が整備される、2)対象村落で持続的な参加型森林草地管理のための実施体制が構築・強化される、3)対象村落において住民参加型による森林草地管理活動が促進される、4)持続的な参加型森林草地管理活動に向けて、関連機関との協力関係が構築される、を目的に活動してきました。
 自然資源局の能力強化のためのキャパシティ・ディベロップメント戦略を示すため、対象地域の自然・社会・経済状況を把握し、これまで実施してきた活動の確認を通じて、活動戦略の検討を行いました。同時に、バフティヤーリ族が居住しているザグロス山系内のバゾフト地区で5村落を選定し、森林草地管理活動と村落開発活動のパイロット事業を実施しました。なお、自然資源局スタッフに対するOJTを含めた研修も含まれています。
 また、延長フェーズからは、参加型活動を実施するために必要な他機関との連携、組織内部連携のための活動も実施しました。

 具体的な活動ですが、森林地帯では、国有地内で、植生回復のためにナラ類(Quercus Brantii他)の天然更新、種子の播種、及び、薬草の播種を試験しました。また、土壌流失が激しい村では石積の小さなチェックダムの設置等の活動を行いました。
 標高の高い高原地帯では野生セロリの播種や、固定モニタリングプロットを設置しました。プロジェクト終了時には一目瞭然で判るくらい植生が回復しており、更新が難しいと言われていたナラの稚樹も成長しています。
一方、村落開発活動は、代替生計手段として、小規模な果樹園(モモ、クルミ、ブドウ、アプリコット等)を設置しました。収穫までの期間は、間作として豆類、野菜を試験的に栽培しました。さらに、生計向上活動では、女性対象にした洋裁研修を実施し、学校の制服の販売等を目指しました。
 延長フェーズでは産品のマーケティング活動も行い、小規模ながらも新たな市場を開拓できました。
 また、女性が主体となり、自己資金積み立て方式のマイクロクレジットボックス活動も実施され、生計活動の資金源としての有効性が理解され、村の活動も賑やかになりました。
 各活動内容は、コミュニティー・ファシリテーター(CF)を住民の中から選出し、活動を進めてきました。活動は、自然資源局、関係住民、プロジェクトチームの三者が話し合った結果をヴィレッジ・アクション・プラン(VAP)という合意文書にまとめCFを中心に実施しました。
 自然資源局内では、職員を対象にした参加型森林・草地管理に関する能力強化のための研修を実施しました。この中で、対話の仕方、環境教育など、自然資源局では初めての研修も行いました。
 延長フェーズから取り組み始めた組織間連携では、まずは組織内部署の連携を図るためのPCC(参加型プロジェクト調整委員会)を立ち上げ、参加型プロジェクトに関する活発な意見交換が行われました。

 2016年12月には現地活動が終了しましたが、それまでに州政府と自然資源局との間で、参加型プロジェクトのための予算コードが承認されるなど、プロジェクト終了後の持続性が見える形となっています。

担当者から

 イスラム教シーア派が主流のイランは、アラブ圏には属さない“ペルシャ”であるといった誇りを持つ悠久の歴史と文化を持っています。石油の発見とともに欧米・ロシアの政治的軍事的干渉が強まる中でも独立を維持してきました。近年においては、イスラム革命により成立した政権による核開発をめぐり、アメリカとの対立が深まっており、メディアで取り上げられる情報はマイナスのイメージが強いですが、イラン国内に入ってみれば、多様性に富んだ民族や豊富な自然資源に驚きます。実は、正倉院に収められている白瑠璃碗はササン朝ペルシャ時代にイランから伝来、祇園祭などの山車にはペルシャ絨毯が飾られているなど、昔から日本とも深い関係があります。
プロジェクトが活動しているザグロス山系には部族の伝統により守られてきた貴重な森林・草地が残されています。今のような時代であるが故に、このJICAの技術協力プロジェクトがイランと日本の良き架け橋になれればと願っています。
非常に優秀なイランの専門家たちと活動ができたことは、日本側の専門家にとっても良い勉強となり、またプロジェクト終了時には、イラン側から専門家に感謝状が贈られ、印象に残るプロジェクトとなりました。
プロジェクトは終了しましたが、一緒に活動をしたイラン側専門家により、より現地に適した住民参加型森林草地管理が実践されていくことでしょう。

プロジェクトURLリンク

JICAホームページ内
https://www.jica.go.jp/project/iran/002/index.html

公開報告書等

詳細計画策定調査報告書 2010.4
http://libopac.jica.go.jp/images/report/P0000256565.html
 
業務完了報告書報告書(第3年次) 2012.12
日本語 http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000009027.html
http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000009028.html
英語 http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000009029.html
http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000009030.html
 
中間レビュー調査報告書 2013.10
http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000014698.html
 
事業完了報告書 2017.2
日本語 http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000030100.html
英語 http://libopac.jica.go.jp/images/report/P1000030102.html
ザクロス山系のナラ類の純林(バゾフト地区)
保護区設置のためのフェンス作り
PRAツールを利用したベースライン調査
自然資源局スタッフに対するPRA研修