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インド国 ウッタラカンド州山地災害にかかる補足調査

事業期間

2014年7月~2015年1月(7ヶ月間)

事業形態

 JICA調査事業(補足調査)

目標

インド国における今後の治山分野の協力案件形成の参考とすべく、特に山岳州であるウッタラカンド州を対象として、山地災害復旧対策について、現状と基本政策、所掌官庁の取り組み状況、当該分野の課題等について情報を収集・確認する。また、治山技術分野における協力ニーズを把握・分析した上で、JICAによる協力を検討するにあたって必要な提言を行うことを目的とする。



活動内容

調査団は、2014年8月及び11月の2回に分けてウッタラカンド州森林局(UKFD)の協力を得て州内の主な山地災害箇所にかかる調査を実施した。この調査の結果、デラドゥン近郊のParori村、ルドラプラヤグ近郊のJawadi村、リシュケシ近郊のNirgad村の3つの村にある山地災害地をプロジェクトのモデルサイトの候補地として選定した。プロジェクトでは、5年間の活動を通じて3カ所程度の治山技術施工にかかるモデルサイトを設置することとしているが、上記3か所のうち、1ヶ所目のモデルサイトについては州都デラドゥンからのアクセス、展示効果の高さ、工種のバラエティー、保全対象の重要性を考慮し、Nirgad村のサイトをプロジェクトとして最初にモデルサイトを設置すべきサイトとした。また、2ヶ所目及び3ヶ所目のモデルサイトについては、デラドゥンからのアクセス(日帰りが可能であること)、1ヶ所目のモデルサイトで用いた工種の適用可能性及び環境社会配慮等を考慮しつつ、プロジェクト開始後に決定することとした。その際、調査団が調査を実施したParori村、Jawadi村も2ヶ所目及び3ヶ所目のモデルサイトとして考慮することとした。



担当者から

インドの森林面積は1950年から1990年の間に約50%減少しており、その後漸増しているものの現在の森林被覆率が23.81%(2011年)と世界平均の31%(2010年)よりも低い。インドでは貧困層を含む約1億人が家畜飼料、薪炭等の生活資材や収入源等を森林に依存しているが、近年の人口増加(平均1.4%/年)や家畜数の増加により森林への負荷が高まっており、森林の劣化が進行している。その結果、疎林の割合は41.59%(2011年)と、水源の涵養や土壌侵食防止等の森林の機能を十分発揮していない森林がかなりの面積を占めている。これら森林の減少及び劣化により、森林の水土保全機能の低下による水資源の不足等の影響が生じ、農業生産性の低下や生活用水の不足等により、主に森林資源や農業に依存する貧困層の生活が圧迫され、収入源確保のために森林伐採を行う等、森林に対する負荷を加速する悪循環に陥っている。
また近年、インドの山間地では国有林地内を由来とする洪水・土砂災害も発生しており、水源の涵養や土壌侵食防止による防災の観点からも森林の質的向上(疎林率の改善)は、森林面積の拡大と併せてインドの森林管理上重要な課題となっている。特にウッタラカンド州では2013年6月中旬にヒマラヤ地域に降り続いた豪雨により、例年にない規模の洪水と土砂崩れが発生し、その結果、同州の北部地域を中心に4,200村落が被災し、6,000人もの死者・行方不明者を出すというインドにおける未曽有の山地災害となった。本補足調査の結果に基づき、技術協力プロジェクト「ウッタラカンド州治山技術協力プロジェクト(仮称)」が開始される予定となっており、その成果の普及によって、インド山岳部における土壌侵食防止及び水源涵養機能の回復によって、将来的に山地災害が軽減に向かい、二度と悲惨な災害が繰り返されることが無いよう願うところである。


ガンジス川沿いの地すべり
治山施工予定地
村落インタビューの様子