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ナミビア国 北部農業開発マスタープラン策定調査プロジェクト

事業期間

2014年8月~2017年7月(予定)

事業形態

 北部農業開発マスタープラン策定調査プロジェクトでは対象北部4州の“自然・社会環境に応じた戦略的、具体的かつ整合性のある農業開発マスタープラン”が必要とされ、日本国にマスタープラン作成に係る協力の要請がなされ、本開発調査型技術協力が実施されることとなった。

目標

①ナミビア国北部の小規模農家の生計向上に貢献する農業・畜産の技術や課題対応策がマスタープランとして提案される。
②カウンターパート(C/P)の計画策定・事業実施に係る能力向上に寄与する。

期待される成果

①対象地域における小規模農家の営農実態が調査され、信頼性の高い客観的なデータにまとめられる。
②対象地域の課題を解決するために適切な技術(乾燥地農業・畜産・営農改善の3 分野)が検討され、実証される。
③上記を踏まえ、対象地域の農業開発方針が、マスタープランとして策定される。
④業務を通じ、ナミビア国側カウンターパートに対して、計画策定方法や新しい農業技術に係る技術移転がなされる。

プロジェクトの背景(ナミビア国北部の農業および農村地域の概況)

 ナミビア国はアフリカ南部に位置し、南は南アフリカ共和国に、西はボツワナ共和国、北はアンゴラ共和国およびザンビア共和国と国境を接している。人口は220 万人、面積は約82 万km2 である。
 産業の中心は、ウラン、ダイヤモンドや天然ガス等の鉱業である。2001 年以降の経済成長率は年平均4.5%を超え、現在はGDP125.8 億米ドル、一人当たりGNI は5,670 米ドルと中進国に位置づけられる。しかし国内の貧富の差は依然として大きく、ジニ係数は0.636(2012 年、出典:世界銀行)で、これは世界で最も高いグループに属する。このような状況下、地方を中心に存在する多数の貧困層の生計改善が課題となっている。
 プロジェクト対象地域のナミビア国北部の農家の大半は小規模自給自足型の農業を営んでいる。年降水量は200~600mm と少なく、また砂質土が広く分布しているため、栽培作物は耐乾性が高く砂質土壌でも生育可能なトウジンビエを中心とした穀物やマメ類等が主である。これにウシ、ヤギなどの家畜飼養も合わせた農牧混合が広く行われている。
 北部地域は気候変動の影響を特に受けやすい地域の一つであり、干ばつとアンゴラ平原からの流出水による洪水被害が繰り返し発生しており、このたびに特に小規模自給農家が深刻な打撃をこうむっている。近年は、特に洪水被害が大きく、北部河川氾濫による洪水(2008年)、ザンベジ川氾濫(2010年)による洪水被害などが発生している。このため、農業では充分に生計を維持することが出来ず、職を求めて首都やその他の都市に人口が流出している。

活動内容

 畜産生産性を向上させ、消費者へ動物性蛋白質の供給、畜産農家の利益向上、農村部の生活改善(家畜販売からの利益や畜肉の自家消費を含んで)等のために一番効果的な方法は、畜産生産者に一番密接な関係を持つAT(農業普及員)の指導能力向上を図ることである。最初にATに対して畜産の飼育管理技術、経験や知識等を移転しATの畜産分野の指導能力を高める。N-CLIMPでは、畜産に精通したATを通して農放牧民にあらゆる畜産関連の情報、知識、技術等が移転され最終的にはナミビアNCA(Northern Communal Areas:ナミビア北部共有地域)の畜産振興に貢献すると考えられている。つまり、ナミビアNCAの畜産振興は、裨益者である農放牧民と直接対話し畜産現場で活動するATの畜産指導能力に負うところが非常に大きい。

【畜産分野パイロット活動選定の流れ】
フェーズ1(2014年8月~2015年5月)
 MP調査中の実証事業としてNCAの農家グループ、AT、MAWF関係者と協議を行い、パイロット活動を選択した。当初選択された16項目に関し、カテゴリー1:N-CLIMPのフェーズ2~3で適用する技術、カテゴリー2:マスタープラン期間(2017/2018~2022/2023の中期)で適用する技術、カテゴリー3.マスタープラン期間(2023/2024~2029/2030の長期)で適用する技術に区分した。カテゴリー2と3に分類された技術方策はN-CLIMPの活動期間で実証できないため除外しカテゴリー1に分類された活動として対象とし8項目が選定された。

フェーズ2(2015年6月~2016年5月)
 2015年8月に第1回Stakeholder Meetingでフェーズ2の作業計画とパイロットサイトの選定を行い北部4州がそれぞれ大家畜と小家畜の実証パイロット活動サイトを選定し、牛飼育が4サイト、在来養鶏が3サイトそしてヤギ飼育が1サイトとなった。
 その後、N-CLIMP主体でATにトレーニングを行い、トレーニングを受けたATが担当農民グループにトレーニングを行うことを4回繰り返し現在に至る。


担当者から

課題と対策
AT:農業普及員
課題 対策
・ATの業務が多く畜産活動に時間を割く余裕が無い
・ATの移動手段(車両等)が不足しており円滑に現場指導出来ない
・MAWFでも上記2つの課題を考慮しており、ATの採用配置、移動手段の充実(車両や燃料代の確保)、情報伝達方法の改善(電話等)の効果的な予算構成を再考している
・ATの指導は主に農業分野であり、畜産に関し殆どのATは指導経験が無い ・MAWFでは、特に畜産指導を実践できるATの人員補充を考えている
・畜産担当に指名されても一般業務に忙殺され活動トレーニングに出席しないATが見受けられる。また畜産に興味のないATが担当者になると、指導に自信がないため農民に指導を行わない ・ATの所属する州や選挙区のADCの管理者全員にトレーニングを周知させ極力参加を促している
・殆どのATは、営農指導が主体で畜産指導を行った事がないので、トレーニングを通してATが技術会得できるように内容を構成している
 
農民:
課題 対策
・実際に家畜管理を行える農民は少ない。活動を知識として知っているが実際自分で総合的な管理技術を持つ農民は極めてわずかである ・ATの指導・トレーニングで順次農民の家畜管理技術を向上させる
・家畜管理技術を持つ農家が他の農家に対して指導できる環境を整備する(Farmers to farmers)
・トレーニングに参加したメンバーの中には自分で管理するのではなく牧童を雇用し仕事を任せていると思われるメンバーがいる。このメンバーがパイロット活動を通じて技術を会得しても牧童への技術移転が円滑に行えるとは思われない。 ・牧童雇用している農家は、トレーニングに牧童を派遣し管理技術を持つ家畜管理マネージャーとして育成する(現状では非常に困難と思われるが)
・メンバー選択が広範囲なので近隣農民と共同で活動を行えない(地域担当ATがメンバーを選択) ・今後、畜産管理トレーニングでは、参加メンバー選択の条件を柔軟に変更し、より効果的なメンバー構成にする
・遠隔地でワクチン・薬剤・家畜飼料等へのアクセス条件が悪い
 
・道路整備等のアクセス改善を行い、家畜オークション会場での薬剤や飼料添加剤等の販売のような対策を講じる
・自主的かつ積極的に生産活動をする農民は少なく依存性が高い。事あるごとに何かを要求する傾向がある ・畜産は自己責任で行う産業と認知させ、極力無償のワクチン接種等を減少する
・上述のごとく家畜飼育で頭数増加を望んでいるが、畜産が経済的に利益を出す産業と認識していない ・多数頭保有がステータスという古い放牧民の意識改革は急には行えないが、若い世代の中からビジネス感覚の農家が育ってきているので、機会あるごとに産業としての畜産の啓蒙を行う
 



今後の展開

①フェーズ3(2016年6月~2017年7月)で、実証パイロット活動は、穀物栽培、大家畜飼育と小家畜飼育が、JICAN-CLIMPチームの間接的サポートを伴うMAWFの直轄(各ADCのAT)で実施され、JICA N-CLIMPチームは園芸作物栽培を直接サポートする。
②園芸作物栽培で畜産分野の関与を考慮すると、例えば、小規模在来養鶏を組み合わせて、双方から出る残渣(利用できない野菜屑や果樹と鶏糞)が双方にとって非常に有用な資源となり(鶏の餌と土壌の肥料)となる。
③ナミビアの畜産は恒常的に家畜餌の牧草不足に直面している。今後は、共有放牧地域の植生を利用する略奪的な牧野放牧ではなく、農業生産部門とタイアップしながら利用されていない休耕地を牧草栽培に利用し生産された牧草を農産物として利用・販売するような農地の有効使用を亢進する。また、農地での飼料作物栽培で家畜餌の確保を行えればナミビアの畜産振興に貢献する。



プロジェクトURLリンク



http://www.jica.go.jp/oda/project/1300523/index.html
http://gwweb.jica.go.jp/km/ProjectView.nsf/VW02040107/23A53C04FDD17F0749257CF40079D056?OpenDocument
ATの講習
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